SMAPはここにいた『古畑任三郎 VS SMAP』

おたのしみ

1話だけ見ても面白いドラマ回、第7回目は『古畑任三郎 3rd season VS SMAP』。満を持しての紹介。もはや説明不要の超名作です。

まずは簡単なあらすじから。

大人気アイドルグループ・SMAPの草彅剛はコンサートスタッフの富樫(宇梶剛士)に脅迫されていた。そのことを知っている他のメンバー、中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、香取慎吾は自分達のコンサート会場で富樫の殺害を目的とした完全犯罪を画策します。そしてコンサート当日、計画を実行し殺害される富樫。捜査を担当することになった古畑はSMAPの証言やアリバイの矛盾を探し出し、全面対決に挑む…。

 

特筆すべきは「SMAP自身がSMAPを演じている」という部分。俳優やタレントが「本人役」としてドラマや映画に出演することは珍しくありませんが、そのなかでもこの「VS SMAP」の完成度は群を抜いているのではないでしょうか。強烈な個性、アイドルとしての魅力、役者としての演技力、それらが5人全員に兼ね備わっているからこそこの『VS SMAP』は成立したのだと思います。

SMAPの5人は確かにそれぞれ本人を演じ、作中で登場する曲や出演作品などはすべて「現実と同じもの」を使用しているのですが、このドラマに登場するのはあくまで「架空のアイドル」「架空のSMAP」だということ。

例えば、5人の性格。古畑は彼らの特徴をこう語っています。

責任感の強い彼か…
悩める青年か…
個人主義の彼か…
一見お調子者のムードメーカーか…
それとも挑戦的なこの男か…

画がなくともこのセリフだけで誰のことを言ってるのか日本国民のほぼ全員がわかってしまうのがSMAPというグループの凄さですが、僕が唯一この回で残念だなと思うのが「本物のSMAPならもっと上手くやった」と思わずにはいられないということ。SMAPはSMAPなのですが、作中に登場する彼らはドラマとして、犯人として成立させるために100倍デフォルメしたいわば「ス!!!マ!!!ッッッ!!!プ!!!」

「責任感の強い彼」は現実の100倍自己犠牲心が強く、「個人主義の彼」は現実の100倍ナルシストで、「ムードメーカーの彼」は現実の100倍アホで、「挑戦的な男」は現実の100倍ムカつく。「悩める青年」に至っては本当にただの悩める青年。もはやマジの意味のCRAZY FIVEです。

悩むな、悩むヒマがあったら、マンマン満足!しろ。マヨネーズかけてどん兵衛もしくは麺職人を食え。そしてタマホームに住め。そう思ってしまいます。

これがもし仮に本当の事件で「本当のSMAP」が事件を起こしたとしたら、この「ス!!!マ!!!ッッッ!!!プ!!!」の100倍うまくやっていたことでしょう。そもそも本当のSMAPなら殺人なんてバカな真似をせずに問題を解決していたかもしれません。

にもかかわらず、この「ス!!!マ!!!ッッッ!!!プ!!!」に対して見ているわれわれはなんの違和感もなく「これはSMAPだ」と錯覚させられてしまう、ここがすごい。同じ孤児院で育った拙く、未熟で、純粋で優しすぎるSMAPがたしかにそこに「存在」したのです。

そしてそのSMAPを演じきった本当のSMAPも確かにここにいた。見る者すべてを魅了する青いイナズマがそこにあった、このドラマはその証なんだと思いました。ゲッチュ。

かんそう
ライター:かんそう
1989年生まれ北海道札幌市在住。ブログ『kansou』(king and soul)であらゆる「感想」を書いている。