横浜流星、松岡広大、黒羽麻璃央ら若手俳優の演技が光る青春ストーリー『いなくなれ、群青』

いなくなれ群青 おたのしみ

こんにちは! 公式ライターの愛です。

今回、ご紹介させていただくのは、河野裕原作の同名小説を、柳明菜監督、横浜流星、飯豊まりえ主演で映画化した青春ファンタジー作、『いなくなれ、群青』です。

『いなくなれ、群青』あらすじ

ある日突然、謎の島<階段島>にやってきた七草(横浜流星)。この島は捨てられた人々の島。やってくる人たちは、なぜ自分がここに来たのかわからない。そして、島を出るためには失くした何かを見つけないといけない。

謎に包まれた島で、学校に通い、安定した生活をおくる七草。しかし、ある日、七草の幼馴染の真辺由宇(飯豊まりえ)が島に現れる。島を出られないことが不服な真辺は、七草やクラスメイトの佐々岡(松岡広大)らを巻き込んで、<階段島>の謎を解き明かそうとするが――。

徹底した「陰」の演技で主人公を演じた横浜流星

本作の主人公・七草は、悲観主義のいわば「」のキャラクターだ。

物語の舞台である<階段島>に暮らす人々は、突然理由もわからずこの島にやってきてしまい、失くしたものを見つけるまで島を出ることはできない。ただ、島での生活はごく安定していて、特に困ることなく暮らしていける。

七草もまた、突然島を訪れて暮らすことになる。しかし、彼は島の平穏な生活が決して嫌ではなかった様子。無理に出て行こうとともがくより、むしろここで静かに生活してそれなりに過ごしていければ…というような、よくいえば慎重で平和主義、悪く言えば後ろ向きで悲観主義な感じで、島での生活を受け入れている感じが見られた。

そんな七草の前に、幼なじみの真辺が突然現れる。

真辺のことを「理想主義者」だと七草は言う。確かに、彼女はまっすぐな性格らしく、おかしいと思うことに真っ向から抗い、自分が決めた道を貫こうとする。<階段島>を出られないことを受け入れず「この島を出る」と決めて、七草に協力をさせようとする。

七草は彼女が自分の前に現れたことが許せなかった。なぜ、許せないのか、そもそも七草にとって真辺がどういう存在だったのかは、ストーリーが進む中で少しずつ見る側にもわかってくる。

ただ、許せないと思う怒りと同時に、彼の中には幼馴染の真辺に対する思慕や愛情もあったようで、島を出ようとする彼女を、そばで支えて見守っていく。そして、真辺に対して複雑な感情を抱える中で、目の前にある物事に対して彼なりの行動を起こしていく。

七草を演じたのは、目下大ブレイク中の横浜流星。映画『オオカミ少女と黒王子』などで快活で面倒見のいい青年を演じていたこともあったが、本作では明るさを封印したかのように「陰」の演技に徹しているのが感じられた。

特に七草がずっと浮かべていたかすかな憂いのある表情が印象的で、表情と佇まいから彼が悲観主義者であることや、真辺に対して複雑な感情をいだいていることがよく伝わってきた。

松岡広大、黒羽麻璃央ら若手注目株俳優の演技も見どころ

七草や真辺のクラスメイト・佐々岡を演じたのは、ドラマ『ベイビーステップ』などで知られる松岡広大。

佐々岡は、常にヘッドホンを首にかけ、明るくお調子者で、ある意味七草とは真逆のタイプ。とはいえ、明るいだけの男子では決してなく、誰かの力になろうと懸命になる熱い心の持ち主でもある。

この明るく心優しき熱血男子を松岡広大は非常に生き生きと演じていて、おかげで佐々岡は劇中で特に人間くささが際立っていて、個人的には登場人物の中で一番共感できるキャラクターだった。

ストーリーが進む中で佐々岡が後輩の豊川(中村里帆)のために必死で奔走する姿は、見ている人の心を非常に揺さぶるところがあり、本作のハイライトの一つといっていいと思う。

七草が学校で唯一心を許す友人のナドの役をつとめたのは、ミュージカル『テニスの王子様』『刀剣乱舞』などの舞台で活躍する“2.5次元の王子様”こと黒羽麻璃央。授業をさぼって一人屋上で過ごすことが多い文学青年・ナドを、淡々としてつかみどころがない中でもどこか凛としている非常にしなやかなキャラクターに仕上げて演じていた。

出番は決して多くないものの、ナドの不思議な存在感は、見ている側の心に強く残り、黒羽麻璃央の役者としての実力をこの作品で実感することができた。個人的には、彼はドラマ『広告会社、男子寮のおかずくん』のちょっと抜けたとこもある「おかずくん」の印象が強かったので、それとはまた全然違う顔を見れたことがうれしかった。

ノスタルジックで幻想的な<階段島>で描かれる等身大の青春ストーリー

本作の中で七草たちが暮らす海沿いの街はどこかノスタルジックな風情があり、物語のカギとなる<階段>などは幻想的な雰囲気を醸し出す。架空の島<階段島>を美しく描き上げ、非常にクオリティの高い映像作品に仕上がっている。

とはいえ、幻想的な雰囲気もある映像の中で生きているのは、自分の心と向き合ってさまようリアルな若者たち。彼らが悩み、もがき、必死に生きていこうとする姿には、みずみずしくも心に突き刺さる等身大のドラマがある。

ミステリアスな島の中で多感な青春時代を送る彼らがそれぞれ見つけ出していくものは何なのか? 映画『いなくなれ、群青』は、2019年9月6日より公開

幻想的でノスタルジックな美しい島の映像と若手俳優たちの熱演を、ぜひ大スクリーンで楽しんで。

「いなくなれ、群青」公式サイトはこちら

田下愛
ライター:田下愛
映画と文房具、音楽を愛するライター。取材、インタビューなど多忙な仕事に奮闘中。趣味はヴァイオリン。

「いなくなれ、群青」映画予告動画