YOSHI、菅田将暉、仲野太賀らの体当たり演技!生命力にあふれた衝撃作『タロウのバカ』

タロウのバカ おたのしみ

こんにちは! 公式ライターの愛です。

今回は、『さよなら渓谷』『日日是好日』などで知られる大森立嗣監督が贈る最新作で、9月6日から公開される『タロウのバカ』のレビューです。

『タロウのバカ』あらすじ

戸籍もなく学校にも行ったことがない、名前のない少年・タロウ。「名前のない奴はタロウだ」という理由で、仲間は彼をタロウと呼ぶ。タロウの仲間は高校生のエージ(菅田将暉)とスギオ(仲野太賀)。二人はそれぞれにやりばのない怒りや悩みを抱えていた。

三人は大きな川沿いの街を駆け回り、秘密の基地にもぐりこみ、自由で奔放な日々を送る。しかし、偶然一丁の拳銃を手に入れたときから、次第に彼らのもとに過酷な現実が突きつけられていく――。

奔放で激しくみずみずしい生命力にあふれた少年タロウ

本作の主人公・タロウは、何者でもない

タロウには母親がいるが、母は息子を全く顧みることがない。だから、タロウは戸籍もなければ学校にも行ったことがない。

家族からも世の中からも捨てられて育ったタロウは、何が正しくて何が悪いことなのかを知らず、窃盗や暴力的な行為も平気でやる。そして、生い立ちゆえに心に深い傷があるのか、やり場のない思いを露わにすることもある。

自由奔放で破天荒で、攻撃性をむき出しにすることもあるタロウ。正直、彼を見ていて怖いと感じるときがあった。愛情をかけてもらうこともなく、何も教わらずただただ放置されて育った彼だからこうなってしまうのか…と捉えながらも、ときにすさまじく激しい感情を見せるタロウを見るのがどうにも苦しかった。

ただ、映画を見ている間、ずっと苦しさを覚えていたかというと決してそうではなく、もう一つ、終始感じていたのは、タロウのとても力強い生命力だった。

タロウは、エージとスギオの二人と仲間になって街を駆け回り、他にもさまざまな人と出会う。その中で、憎しみや怒り、愛情や優しさなどさまざまな感情がタロウの中に生まれていくが、いつも自分の身体ごと、心ごとでタロウは生きようとする。

社会で生きるすべを知らず、善と悪の区別もつかない中で、自分の本能だけを頼りに存在し続けようとするタロウの姿は、少年らしい激しくもみずみずしい豊かなエネルギーにあふれていた。

このタロウの存在感を映画の大スクリーンを通して伝えたことが、この作品のすごさであり、何よりの価値なのではないかと思う。

体当たりで演じたYOSHI、菅田将暉、仲野太賀らメインキャスト

主人公・タロウを演じたのは、本作が映画デビュー作となるYOSHI

撮影当時まだ15歳で、俳優初挑戦とのことだが、たとえようもない激しさと純粋さが同居する非常に難しい役どころであるタロウに力いっぱいなりきっていて、まさに拍手喝采ものの見事な演技だった。

これから、彼が俳優としてどうキャリアを重ねていくのかは未知数だが、『タロウのバカ』は、きっと彼の代表作になり続けるのではと思う。

タロウの仲間のエージ役は、「3年A組-今から皆さんは、人質です-」なども記憶に新しいドラマや映画で大活躍中の菅田将暉

本作では、高校でうまくいかず、やるせなさを抱えて暴力的な行動を起こしてしまうエージを、金髪姿でワイルドに演じ抜いた。

コミカルな役から大人しい役まで多彩にこなす菅田将暉だが、血気盛んな激しさと深い傷を抱えたエージ役も見事にはまっていて、彼の役者としての懐の深さを改めて知らされた。

もう一人の仲間・スギオを演じたのは、『ゆとりですがなにか』の山岸ひろむ役などで注目を浴び、近年存在感を確かなものにしつつある仲野太賀

恋する女性への思いを持て余し、やや内向きなところがあるスギオの微妙な感情の揺れ動きを表情できちんと表現していて、彼もまた今後目が離せない注目株俳優の一人だと確信した。

タロウ、エージ、スギオ。メインの三人の少年を演じた彼らは、いずれも本当に体当たりの熱演だった。彼らのはじける演技がこの映画をよりエネルギーにあふれたものにしたのだと思う。

とてつもなく大きな衝撃、「生きよう」とするパワーが伝わってくる

実は、『タロウのバカ』を鑑賞し終えたとき、しばらくなんともいえない脱力感に襲われた。そして、果たしてこれを自分はどう捉えればいいのか…としばし悩んだ。

面白かった、感動したというのとはまた違った作品。ただ、とてつもなく大きな衝撃を受けたことは確かだ。

何者でもない少年がひたすら自分のまるごとで生きようとする生命力を目の当たりにして、何か「生きよう」とするパワーが伝わってくるのを感じた。その余韻は今も自分の中に残っている。

衝撃的で苦しいけれど、みずみずしいパワーにあふれた『タロウのバカ』。

この作品の生命力を、きっと忘れることはないと思う。

「タロウのバカ」公式サイトはこちら

田下愛
ライター:田下愛
映画と文房具、音楽を愛するライター。取材、インタビューなど多忙な仕事に奮闘中。趣味はヴァイオリン。

「タロウのバカ」映画予告動画