第32回東京国際映画祭・特別招待作品『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の特別先行版ワールドプレミアが東京・TOHOシネマズ六本木にて開催。
本作の声優をつとめたのんさん、岩井七世さん、音楽を担当したコトリンゴさん、そして、片渕須直監督が登壇しました。
特別先行版上映も、片渕監督「実はまだ途中。あと数分長くなります」
こうの史代さん原作の漫画を映画化し、2016年に公開された『この世界の片隅に』。戦時中の広島県の呉を舞台に、絵を描くのが好きな18歳の女性・すず(声:のん)が嫁いだ家で日々の暮らしを丁寧に紡いでいく姿を描き、興行収入27億円を超えるヒットとなりました。
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、2016年公開作をベースに新たに250ものカットを書き加えて蘇った物語。すずが同世代の女性・リン(声:岩井七世)と出会って心を通わせていくも、夫の周作(声:細谷佳正)と彼女のつながりに気づいていく…という前作では描かれなかったより深いドラマが綴られています。

この日は、12月の公開に先駆けて特別先行版が上映。舞台に立った片渕監督は、「すごく長い映画なのですが、実はまだ途中でして、あと数分長くなります。今日またこれから帰ったら作業なのですが…」と、さらに尺が増えることを告白。
そして、「長い長い映画にお付き合いいただいて、でも、それはもっと長いすずさんの人生が、ちょっとだけ多くページが開かれたということなんだと思います。すずさんの人生をこの映画を通して感じていただけたら」と集まったお客さんに語りました。
のん「すずさんの皮膚感が戻ってきた」

主人公・すずを演じたのんさん。
前作から3年ぶりのアフレコとなり、「期間を置いてから同じ役に挑むのが初めての経験ですごく緊張していた。けれど、何度も作品を見返したり、原作を読み返したり、新しいシーンに対してどういう解釈をしていこうかなと構築していくうちに、なんとなくすずさんの皮膚感が蘇ってきた。録音のスタジオに行ったら、監督がいらっしゃって、監督への信頼があったので、しっかりと強い気持ちでのぞむことができました」と振り返りました。

同じく3年を経てリンを演じた岩井七世さん。新しく加わるシーンを楽しみにしていて、物語の舞台である呉を訪れたり、前作をいろいろな映画館に10回以上も見に行ったりしたのだそう。
アフレコについては「私自身が作品のファンでもあり、とても緊張した。なので、なるべく気張らずリラックスして、監督の言葉に耳を傾けて臨みました」とのこと。

今回、本作のために4曲を書き下ろし、エンディングテーマ『たんぽぽ』を再録したコトリンゴさん。
これらについて「今回はすずさんの世界でリンさんが大きく関わっていて、周作さんもちょっと関わってくる。なので、前作で作っていたそれぞれの登場人物の音楽を発展させる形で、自然に新しいシーンがつながっていけばいいなと思って作っていった」と制作秘話を披露。
さらに、『たんぽぽ』については、「聴いたイメージはそんなに変えたくなくて、でも、たぶん次作はもうなく、これで本当に完結…なんですかね?」と確認まじりの言葉で客席を笑わせつつ、「ちょっと名残惜しい重厚感を出したくて、アレンジを豪華にしています」と解説してくれました。
周作とリンの秘密にすずさんは…のん「複雑な気持ち」

舞台挨拶中盤では、作品内容に切り込んだ話になり、前作との違いを聞かれた片渕監督。
「『この世界の片隅に』は、すずさんと主にお義姉さんの径子さんの葛藤や二人の関係がどんなふうに変わっていくかが、すずさんの進んでいく道を示していたと思うんですが、今回はもっと複雑になった。人間はそんな簡単なものではなく、たくさんのものに出会って苛まれて、でも生きていかなくてはいけなくて、すずさんはもっとたくさんの人のことを見るんです。前の映画で描かれていたいろいろなシーン、セリフ、表情が、今回また新しい場面を加えたことで、『すずさんはこんなことを心に抱いていたのかもしれない』と思い描けるものになっていて、すずさんという人の存在がより多面的になっている」と話しました。

そして、すずが夫の周作とリンの秘密に触れる部分について「すごく複雑な気持ちだなと思いましたね」と語ったのんさん。
「リンさんがすずさんの中で存在が大きい人なんだというシーンがたくさんあるんです。リンさんは、すずさんが呉に来て知らない家族にお嫁入りして、お嫁さんの義務を果たすことで居場所を見つけなきゃいけないと過ごしていく中で、初めて『絵を描いてほしい』って言ってくれた人。だから、(すずさんは)自分の中にあるものを認めてもらえたっていうそこを心のよりどころにしていたんじゃないかと思う。本当に大きな存在だったのに、周作さんとの秘密がすずさんにとっても自分がどこに感情を置けばいいのかと戸惑っている気がして、いろいろな感情が入れ代わり立ち代わり外に出てきて、その複雑な部分を難しいなと思った」
と一生懸命言葉を重ねて話しつつ、「スタジオで監督に演出していただいて、たくさん気づけた部分があって、再び挑めることができてよかったなと思います」と、“すずさん”への思いを改めて明かしてくれました。

舞台挨拶のラストは、代表してのんさんと片渕監督が挨拶。
「新たな気持ちで見られる映画だと思うので、ぜひたくさんの人におすすめしていただけたら」(のんさん)
「『この世界の片隅に』という映画があって、でも『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、また新しい映画だというつもりで作りました。こんなにたくさんの方々に最初から見ていただけてこんなにうれしいことはない。この時間を共有していただいてありがとうございました」(片渕監督)
と、それぞれしめくくりました。
映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、12月20日(金)より、テアトル新宿、ユーロスペースほか全国で公開予定です。

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(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
この世界の片隅にを見る

前作の『この世界の片隅に』は2016年に公開され、動画サービスでも配信されています。
また、松本穂香さんと松坂桃李さんが主演のテレビドラマ版、北川景子さんと小出恵介さんが主演の実写映画版も配信されています。
サービス | アニメ(映画) | 実写版(ドラマ) | 実写版(映画) |
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主人公すずさんを演じた女優ののんさん。片渕監督絶賛の優しく柔らかい心地よい声ですずさんにぴったりです。
12月の続編の前に、是非『この世界の片隅に』の世界観を楽しんでくださいね。
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映画と文房具、音楽を愛するライター。取材、インタビューなど多忙な仕事に奮闘中。趣味はヴァイオリン。