“作品愛”にあふれたもう一つのリョウ(獠)とカオリ(香)のストーリー『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』

CH史上最香のミッション おたのしみ

こんにちは!公式ライターの愛です。

新宿を舞台に凄腕スナイパーの冴羽獠とパートナーの槇村香の活躍を描いた『シティーハンター』。2019年、久々に映像作品『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』が劇場公開され話題を呼びました。

その興奮も冷めやらぬ同じ年の11月、うれしいことに再びかの作品の新たな物語が大画面に登場。フランスで作られた『シティーハンター』の実写作品『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』です。

『シティーハンター』の一ファンとして、この作品見て感じたことを、これから作品を見る方々に伝えられたらと思います。

『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』あらすじ

人呼んで“シティーハンター”として、ボディガードや探偵稼業を請け負うリョウ(演:フィリップ・ラショー 声:山寺宏一)とパートナーのカオリ(演:エロディ・フォンタン 声:沢城みゆき)。

ある日、二人は依頼人のドミニク・ルテリエ(演:ディディエ・ブルドン 声:土師孝也)から香りを匂った者を虜にしてしまう「キューピッドの香水」の警護を頼まれるが、スキをつかれて香水を奪われてしまう。

悪のテロリストの手に渡ったら大変なことになる香水。取り戻すためのミッションに出たリョウとカオリだが、タイムリミットの48時間の間に果たして香水を無事に奪還できるのか――。

原作への愛にあふれたまぎれもない『シティーハンター』

まず何よりも、『シティーハンター』という作品を愛するすべての人たちに伝えたいことがある。

それは、本作は、まぎれもない「シティーハンター」だということ。

原作のあるものを実写化するとき、ファンが何より望むのは、原作へのリスペクトがあること、そして、原作への愛情を持って作られること。

それらがあれば、ファンが愛したものがぶち壊されることはないからだ。

監督・主演をつとめたフィリップ・ラショーは子どものころから『シティーハンター』が大好きで、彼が本作の企画書とプロットに直筆の手紙を添えて原作者の北条司氏の事務所に送ったことが、本作の実現につながったという。実際、本作はもとの『シティーハンター』をよく知って愛している者でなければ決して作ることができない作品に仕上がっていた。

フランス発の作品ということで、もちろん舞台は新宿ではなく、ストーリーを彩る場面は原作とは少し異なる。そして、原作のイメージや流れを踏襲しつつも、お色気シーンやコミカルな場面、リョウとカオリのミッションに絡むパンチョ、スキッピーらキャラクターには海外らしいテイスト、さらにフランスらしい小粋さやエスプリが加えられているのを感じた。

しかし、その一方で、しっかりと原作のままの世界観、しかもファンが感激せずにいられない見事なクオリティで再現されたものもあった。

依頼の暗号「XYZ」やカオリのハンマー、リョウの愛車のミニクーパーなど、おなじみのものたちがしっかり出てくるし、それ以外にも、お約束の演出や原作を知っている人でないとわからない要素も登場してくるので、ファンはぜひ気を付けて見ていくことをおすすめする。

作品情報が流れてきたときから再現度の高さが絶賛されていたキャラクターたちもしかり。リョウとカオリはもちろんのこと、原作から抜け出てきたとしか思えないファルコン、さらにカオリの兄の槇村ことヒデユキも原作さながらの雰囲気で登場する。

槇村ことヒデユキ

槇村ことヒデユキ役 ラファエル・ペルソナ

槇村は原作やアニメにおいて出番は多くはないが、獠と香をつなぐ極めて重要なキャラクターであり、彼のドラマをきちんと描いてくれたのが、ファンとしてうれしかった。

変わらないリョウとカオリのドラマ、これぞ『シティーハンター』

『シティーハンター』という作品の中の大きな軸であるリョウとカオリのドラマ。これも本作は忘れておらず、むしろ、原作さながらに見事に描ききっていた。

美人を見るとすぐにスケベ心を起こすリョウ。そんなリョウに怒りの天誅をくらわすカオリ。

一見、それぞれが感情のままに突っ走っているかのようでいて、彼らはいつも本当に素直じゃない。本作でも、リョウはカオリの前でちょっとだけ嘘つきになる。そして、カオリはリョウのそばでちょっとだけ臆病になる。

あいかわらずのもどかしい二人。しかし、『新宿プライベート・アイズ』もそうだったが、リョウとカオリの絆が垣間見える瞬間は、とてもさりげなくやってきた。

リョウとカオリ

なにげない中で心が重なっているのが見える、私たちがよく知っているリョウとカオリの姿が映画の中にいた。それこそが本当に大切なことで、これまで見てきたのと変わらない二人の“らしさ”を見たときに、「これぞまさしくシティーハンター」だと心から安心することができた。

リョウとカオリの新声優、山寺宏一&沢城みゆきの芝居にも注目

『シティーハンター』の獠と香の声優といえば、おなじみ神谷明と伊倉一恵だが、本作で二人の役は山寺宏一&沢城みゆきの新コンビに引き継がれている。

山寺宏一は、もともとアニメ『シティーハンター』で数多くの役をこなしていて、『新宿プライベート・アイズ』でも、物語のカギを握る御国を演じ、作品と深いかかわりのある声優の一人。また、山寺氏は、この人に任せれば絶対にはずすことはないと誰もが認める、いわば声優界の名スナイパー。今回のリョウの役はある意味満を持してといっていいのかもしれない。

『それいけ!アンパンマン』のめいけんチーズからディズニーキャラクターのドナルドダックまで変幻自在の芝居の印象も強い山寺氏だが、今回はかっこいい大人の男のリョウを、ダンディで頼もしい声に少しおバカなノリも忘れず、見事に演じきった。この人は本当にいつもはずれがない。そうとしかいいようがないからすごい。

そして、カオリ役の沢城みゆきの本作での演技には、ちょっとした感動を覚えた。カオリというキャラクターの男勝りな部分をパンチのきいた明快さで演じ、その一方でカオリの内にある乙女心も自然に表し、しかも、その奥のどこかに伊倉一恵版の香の姿も見えてくるようだったからだ。

真似をしているわけではない、自身のカオリを作り上げつつ、でも先代のへのリスペクトも忘れていない。そんなうまさと真摯さが同時に感じられる演技で、沢城氏が実力派として高い評価を受けている理由がわかったような気がした。

主役の二人は声優が新しくなっているが、ファルコンやサエコ、ヒデユキなどはテレビアニメ版のキャストがそのまま担当。そして、神谷明と伊倉一恵はスペシャルゲストとして参加している。獠と香とはまた違う名演技を披露しているので、どんな役で登場するかぜひ楽しみに見守ってほしい。

『シティーハンター』リョウとカオリのストーリーは、終わらない

今年初めに公開された『新宿プライベート・アイズ』を見たときは、獠と香の新たなストーリーだと感じたが、『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』をラストまで見届けたときに強く思ったのは、リョウとカオリのストーリーは終わっていなかった…ということだった。

海の向こうの国の監督がよくぞここまで描ききってくれたと拍手を送りたくなった本作。「ここまで作るのは、もう作品愛以外の何物でもないよね」と唸るばかりのクオリティで、原作が完結しても、作品を愛する人がいれば、こんなにも素敵な形で物語が息を吹きかえすことがあるのだと教えてもらった気がした。

リョウとカオリ、“シティーハンター”の二人は、作品を愛する人たちの心の中で今も走り続けている。だからこそ、今年、二本もの劇場作を通して、彼らは再びファンたちの前に変わらない姿を見せてくれたのだと思う。

愛を止めなければ、夢は取り戻せる。私たちの『シティーハンター』は、きっとまだまだ終わりはしないのだ。

『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』は、11月29日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。絶対見てね!

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田下愛
ライター:田下愛
映画と文房具、音楽を愛するライター。取材、インタビューなど多忙な仕事に奮闘中。趣味はヴァイオリン。

『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』の主な登場人物紹介

リョウ

フィリップ・ラショー
役者:フィリップ・ラショー
原作名:冴羽獠
声優:山寺宏一

カオリ

CH史上最香のミッション カオリ

役者:エロディ・フォンタン
原作名:槇村香
声優:沢城みゆき

ヒデユキ

CH史上最香のミッション 槇村秀幸

役者:ラファエル・ペルソナ
原作名:槇村秀幸
声優:田中秀幸

ファルコン

CH史上最香のミッション ファルコン
役者:カメル・グエンフォー
原作名:海坊主/伊集院 隼人
声優:玄田哲章

サエコ

CH史上最香のミッション 野上冴子
役者:エレーヌ・ランベルティ
原作名:野上冴子
声優:一龍斎春水

『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』本予告

(C) AXEL FILMS PRODUCTION – BAF PROD – M6 FILMS
(C) Axel Films Production

『シティーハンター』シリーズ紹介

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