新型コロナウィルス感染予防のため、大規模イベント・外出の自粛やリモートワークの奨励など、リアルに他人と顔を合わせる機会が減ってきている、今日この頃。
確かに、通勤の苦労から開放されたり自宅で仕事ができる環境は便利ですが、やっぱり実際に人と会って話したい!そんな気持ちが強くなっているのも事実。
そこで今回は、そんな人間同士の繋がりや交流を描いた、現在Amazonプライム・ビデオで配信中の2014年日本公開作品『ショート・ターム』を、ご紹介したいと思います。
“ショート・ターム”と呼ばれるグループホーム型の児童保護施設。ここに保護された子供たちとスタッフたちの交流を通して、児童虐待で受けた心の傷と向き合う人々を描く感動作なのですが、果たしてその内容と見どころは、いったいどのようなものなのでしょうか?
ストーリー
親から受けた虐待など、様々な理由で心に傷を負った子供たちをケアするシェルター“ショート・ターム12”で働く、20代のケアマネージャー、グレイス(ブリー・ラーソン)と、同僚でボーイフレンドのメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr.)。
グレイスの妊娠をきっかけに、二人の将来にも幸せが訪れると思われたが、実は彼女の心にはメイソンにも打ち明けられない、深い闇が横たわっていた。
そんな中、グレイスは新入りのジェイデン(ケイトリン・デヴァー)という少女を担当することになる。ジェイデンと交流を深めていくうちに、グレイスは彼女が父親に虐待を受けていることに気づくのだが・・・。
ズバリ、見どころはここ!
映画の冒頭で交わされるスタッフ同士の世間話から、一気に緊張感あふれるシーンへと切り替わる本作。
この冒頭部分だけで”ショート・ターム”という施設の厳しい日常と、そこで生活する子供たちの心の闇の深さが観客に突きつけられるのですが、具体的な虐待描写は登場しないので、安心して家族で鑑賞できる内容になっています。
「自分たちは親でもセラピストでもない、子供たちを安全に生活させるのが仕事」。
そんなグレイスのセリフに象徴されるように、衝動的に暴れてしまったり、反抗的な態度を崩さない子供にも一方的に叱りつけるのではなく、まず彼らの話を聞いて理解しようとするスタッフたちの姿は、子供たちと同じ目線に立って、彼らに寄り添う存在であろうとするもの。
それと同時に、自殺や自傷行為に使われそうな私物は入所時に没収され、定期的に子供たちの部屋もチェックされるなど、一見平穏に見える施設の日常が、実は決して油断できない状況にあることも、ちゃんと描かれているのです。
そもそも、生まれた環境や人種の異なる子供たちが共同生活するのですから、ちょっとした言葉の使い方や誤解で衝突したり、ケンカが起こるのは当然と言えるかも知れません。
自分の辛い過去と母親への想いをラップにする黒人少年など、それぞれに重い過去を抱えた施設の入所者たちですが、彼らを見守るスタッフの側も決して順風満帆の人生を送ってきたわけではないことが、次第に観客にも分かってきます。
例えばケアマネージャーのグレイスは、新しく入所してきたジェイデンという女の子を担当するのですが、週末に父親が迎えに来なかったことで、自傷癖のあるジェイデンは再び自分を傷つけようとしてしまいます。
そんな彼女の心を理解しようと接する中、ジェイデンが話したサメとタコの童話の内容から、彼女が父親から虐待を受けていることを見抜くグレイス。
実はグレイス自身も過去に父親から虐待を受けていて、ジェイデンと同じように自傷を繰り返していたことや、父親が10年間刑務所に入っていることが明かされていくのです。
施設の規則によって、18才になると”ショート・ターム”を出て自立しなければならない子供たち。
厳しい社会へと巣立つまでの短い期間を共に過ごす人々の交流や、辛い過去に向き合い乗り越える姿が描かれる、この『ショート・ターム』。
映画冒頭のシーンと見事に呼応するエンディングも素晴らしいのですが、冒頭とは違って、施設を出た子供たちに待つ明るい未来がちゃんと描かれているのは見事!
スクリーンから観客に向かって疾走する人々の姿が、鑑賞後の余韻と感動を与えてくれる作品なので、全力でオススメします!
最後に
実は、本作で非常に興味深かったのが、子供たちが脱走して施設の外に一歩でも出てしまったら、絶対に脱走した子供の体に触れてはいけないという規則が存在する点でした。
その規則に従って、子供たちが自主的に施設に戻ろうとするまで、一定の距離を保って彼らと行動するグレイスの姿は、施設内と外部が全くの別世界であることや、施設を出た子供たちに待つ厳しい現実を観客に教えてくれるものとなっています。
加えて、自分と似た境遇のジェイデンに対する施設側の扱いに対して、ついに一線を越えて自身の感情を露にするグレイスの姿は、虐待の当事者でなければ理解できない心の内を代弁するものであり、冒頭のシーンでグレイスが言った「現場のスタッフは親やセラピストではない」というセリフとも、見事な対比を見せてくれるのです。
実の親からの虐待が、子供たちの自尊心や精神をいかに蝕んでいるか?そして、心の奥底に抱えた悩みやトラウマを誰かに話すことが、どんなに大切か?
リモートやネットを介した距離感では決して得られない、リアルな人との繋がりや思いやりの大切さを教えてくれる、この『ショート・ターム』。
ちなみに本作にはブリー・ラーソンの他にも、後に『ボヘミアン・ラプソディ』で大ブレイクを果たすラミ・マレックが、新人スタッフのネイト役で出演しているので、ここもぜひお見逃しなく!

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ショート・タームが見れる動画配信サービス
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