『タクシー運転手 約束は海を越えて』命がけで真実を伝える人々の姿に感動! その見どころを全力で語る!

タクシー運転手 レビュー 韓国映画

Netflixで配信中の韓国ドラマ『愛の不時着』や『梨泰院クラス』の大人気により、メデイアで情報を目にする機会が一気に増えた韓国ドラマですが、映画の方も『パラサイト 半地下の家族』のモノクロ版が新たに劇場公開されるなど、更なる盛り上がりを見せています。

そこで今回は、『パラサイト 半地下の家族』のソン・ガンホが主演した、現在「Anazonプライム・ビデオ」や「Hulu」などで配信中の、2018年日本公開の韓国映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』を、ご紹介したいと思います。

1980年に韓国で起きた『光州事件』の真実を報道しようとするドイツ人記者と、韓国のタクシー運転手の間に生まれる言葉や国を越えた友情を描き、公開当時多くの観客から高い評価を得た本作。

ソン・ガンホの笑顔が印象的な日本版ポスターからは、心温まる人情ドラマのように思えるのですが、果たしてその内容や見どころとは、いったいどのようなものなのでしょうか?

ストーリー

ソウルのタクシー運転手マンソプ(ソン・ガンホ)は「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」という言葉につられ、ドイツ人記者ピーター(トーマス・クレッチマン)を乗せて英語も分からぬまま一路、光州へと向かう。

何としてもタクシー代が欲しいマンソプは、機転を利かせて検問を切り抜け、時間ぎりぎりで光州に入るが、「危険だからソウルに戻ろう」というマンソプの言葉に耳を貸さず、ピーターは大学生のジェシク(リュ・ジュンヨル)とファン運転手(ユ・ヘジン)の助けを借りて撮影を始める。しかし状況は徐々に悪化。マンソプは1人で留守番させている11歳の娘が気になり、ますます焦るのだが…。

ズバリ、観どころはここ!

1980年5月に韓国で起きた光州事件(光州市を中心に起きた民衆の反政府デモに対する軍による武力弾圧)を取材中のドイツ人記者ピーターと、彼が光州への道案内として雇ったタクシー運転手マンソプの友情、更に二人が体験する過酷な現実を実話を元に描く、この『タクシー運転手 約束は海を越えて』。

軍隊による検問を切り抜けて、なんとか光州に入ることができた二人ですが、そこで彼らが目にしたのは、ゴーストタウンと化した市街や、ケガをした人々で溢れた病院など、想像を遙かに越える過酷な現実でした。

取材を終え次第すぐにソウルへ戻る予定だった二人ですが、肝心のマンソプの車が故障してしまったため、光州での宿泊を余儀なくされることに。

その夜、光州の町中へ取材に出たマンソプたちは、私服警官に追われて死を覚悟するような目に遭うのですが、恐怖を覚えたマンソプは家に残した娘への想いから、ピーターを置いたまま翌朝早く自分だけで光州を去ろうとします。

ピーターからの報酬を手にソウルへと戻る途中に立ち寄った町で、久しぶりの暖かい食事と娘へのプレゼントの靴を買い、後は娘の待つ平穏な暮らしに戻るだけのマンソプ。

しかし、食堂の新聞に書かれていた事実と正反対の記事や、人々の会話から光州に軍隊が投入されたことを知ったマンソプは、自身の命を賭けたある重大な選択を迫られることになります。

この後の、愛する娘との生活が第一だったマンソプが、人間としての良心やピーターとの友情、そして何よりタクシー運転手としての使命感から、遂にある行動に出る展開は必見!

観る人によっては、ラストの展開が都合よすぎると感じるかも知れませんが、光州での弾圧に疑問を抱き、自身の良心に従って行動した人々が軍の中にも存在したという描写が、この歴史的悲劇への大きな救いとなっているのも事実なのです。

すでに戒厳令が敷かれ、軍による市民への無差別発砲が開始された光州から、果たして二人は生きて脱出できるのか?

共に死線を乗り越えた二人の強い友情と、ピーター本人の映像が流れるラストが観客の心に深い余韻を残す感動作なので、全力でオススメします!

最後に

一般市民の行動と努力によって勝ち取られた韓国の民主政治ですが、この映画でもジャーナリストやカメラマンなどの報道関係者だけでなく、学生たちやタクシー運転手といった普通の人々が、人間としての良心に従って行動した結果が受け継がれ、ついに光州事件の真実が外部に公表・拡散されるまでが描かれています。

例えば、光州で目撃したあまりに残酷な現実に絶望し心が折れたピーターを、今度はマンソプが励まし再び行動を起こさせる描写には、彼らが最後までそれぞれの仕事への使命感に従って行動したことが、見事に描かれているのです。

事件当時、日本特派員だったドイツ人記者ピーター、そして偶然から彼に同行することになった平凡なタクシー運転手マンソプは、共に行動する中で何を見て何を感じたのか?

平凡なタクシー運転手と外国人記者という異なる立場の二人の視点から、韓国の民主政治が普通の人々の勇気ある行動と尊い犠牲によって勝ち取られる過程が描かれる、この『タクシー運転手 約束は海を越えて』。

この1980年5月の光州事件が、後に起こる大統領直接選挙制を求める大規模な民主化運動である六月抗争(1987年)に繋がることになるのですが、本作で光州事件に興味を持たれた方は、その後の韓国の民主化運動の行方を描いた『1987、ある闘いの真実』も、ぜひご鑑賞頂ければと思います。

滝口アキラ
ライター:滝口アキラ「シネマズPLUS」公式コラムニスト、雑誌「昭和40年男」ライター。専門は映画コミカライズ研究。

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※2020年7月15日現在