楽天TVで配信開始!タイの人気BLドラマ『TharnType/ターン×タイプ』の魅力に迫る

タイのBLドラマTharnType/ターン×タイプ 海外ドラマ

今年2月に配信が開始された『2gether The Series』が一つの起爆剤となり、現在タイBLドラマが日本を席巻している。先日発売されたばかりのアジアBLを特集したムック本『Be a LIGHT-アジアBLドラマガイドタイBLドラマ』は予約が殺到し、Amazonでも在庫がない状態になるほど。テレビや雑誌など、各媒体でも続々と特集が組まれている。

タイBLドラマの金字塔的な存在である『SOTUS』や、ゲイカップルの生き方をテーマにした『Dark Blue Kiss』、切ない片思いを視点を入れ変えて描く『Theory of Love』など、質の高い作品が数多くあるなかで、本記事ではもっとも刺激的とも呼び声高い『TharnType/ターン×タイプ』の魅力に迫っていく。

TharnType/ターン×タイプ

物語は、何の問題もなく学生生活を過ごしたタイプ(カナーウット・トライピパッタナポン/ガルフ)が、ある日大学寮のルームメイトであるターン(スパシット・ジョンチーウィーワット/ミュー)がゲイであると知るところから始まる。

ある過去の経験から同性愛嫌悪を内面化していたタイプは、ターンがゲイであることを受け入れられず、彼に部屋を出ていくように一方的に要求したことから、二人の戦いの日々が幕を開けていく。

TharnType/ターン×タイプ

監督を務めたのは、撮影時わずか27歳のバンティット・シンタナパーラディー。監督が脚本から演出までを手掛けた短編映画『I Want You To Be』(2015)では、親友であるゲイの少年に片思いする少女を切なく描いている。ドラマシリーズよりも更に作家性が強く出るこの過去作を見ると、軽々と性別を超えていくということよりも、寧ろセクシュアリティのどうしようもなさのようなものに監督の関心が向いているようにも思われる。

その意味においては、ゲイである男性を愛することや自身の同性愛嫌悪と向き合うことを主題に持つ『TharnType/ターン×タイプ』のような作品を彼が演出することには、ある種の必然性が感じられる。

TharnType/ターン×タイプ

『I Want You To Be』は、少女の繊細な感情の揺れ動きに共鳴するような小刻みに揺れ続ける手持ちカメラが特徴的だが、監督の演出はそうして映像技法を用いながら、登場人物の感情にとことん寄り添っていく。

『TharnType/ターン×タイプ』でも、特にその人物の感情の変化や流れが重要になる場面では、ロングテイクを使用している。終盤にかけてのサスペンスフルな展開が見どころの一つの本作では、ややもすると絶対的な「悪役」ができあがってしまうところを、登場人物の感情に長い時間をかけて視聴者に向かい合わせることで回避する。

本作の原作であるMAMEによるウェブ小説『TharnType Story』にすら描かれていない人物の背景などを監督自身が想像して物語を補填し、役者と共に理解を深めていく精緻な作業が、この作品にさらに厚みをもたらしているのかもしれない。

TharnType/ターン×タイプ

本作の撮影前に行われたワークショップでは、監督のオールタイムベストである映画『君の名前で僕を呼んで』(2017)の一部を、ミューとガルフに演じさせた。この映画を見せれば、きっと二人はターンとタイプのキャラクター像をより理解することができると監督は確信していた。

『君の名前で僕を呼んで』の演じた二つのシーンとは、一つはエリオとオリヴァーが初めてキスを交わし、エリオがオリヴァーの股の間に触れて「確認」するシーン、もう一つは鼻血を出したエリオにオリヴァーがマッサージをし、足に口づけをするシーンだった(この足に口づけする行為は、『TharnType/ターン×タイプ』のなかでも再び繰り返される)。

監督はこの時ミューとガルフに対して本当にキスすることまでは求めなかったのにもかかわらず、二人は実際にキスをして見せて周囲を驚かせた。このエピソードからも、二人の作品に対する強い覚悟と思いが窺える。

TharnType/ターン×タイプ

『君の名前で僕を呼んで』は、湿度の高いその官能的な性描写も評価の高い映画だが、『TharnType/ターン×タイプ』でも「氷キス」など美しいラブシーンが一つの見どころとなっている。その美しさは、LINE TV AWARDS 2020「ベストキスシーン賞」などの受賞が証明している通りである。

本編終盤のシリアスさを埋め合わせるかのように穏やかな雰囲気を湛えた全話終了後のスペシャルエピソードでの長いベッドシーンは、必見としか言いようがない。虫の鳴き声と二人の息遣いだけが聞こえるその静謐さのなかで、彼らの所作はオリヴァーとエリオの面影を垣間見せもする。

1980年代に悲恋の宿命を背負わざるをえなかったオリヴァーとエリオを、ターンとタイプが現代で幸福に生き直す。そうして私たちは、この二つの物語の時代を超えた接続性に思いを馳せる。

TharnType/ターン×タイプ

シンタナパーラディー監督は『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノのほか、尊敬する監督の一人に、タイBL映画の代表作『ミウの歌〜Love of Siam〜』(2007)のチューキアット・サックウィーラクンの名を挙げている。

『ミウの歌』のなかで口にされる「恋人にはなれないけど、それは愛してないという意味じゃない」という言葉が表すように、お互い好きであるにもかかわらず一緒にいることのできない少年同士の関係性を描く『ミウの歌』では、直接愛の言葉を伝えるのではなく、歌を介してその思いが伝えられる。タイBLドラマでは歌を歌うシーンが頻出することはよく知られているが、おそらく『ミウの歌』にはその源流がある。

TharnType/ターン×タイプ

音楽学部に所属するターンは、組んでいるバンドでドラムを担当しており、劇中歌「Hold me tight」を歌唱するシーンもある。もともとドラムを演奏することができなかったミューは撮影前に特訓し、ドラマでもその腕前を披露している。

また、実際に歌手活動も行っておりファーストシングル「Season of You」を発表したばかり。そうして主演俳優が音楽性を高める『ターンタイプ』でも、タイBL定番である”音楽”が大きな魅力の一つとなっている。

TharnType/ターン×タイプ

俳優業含め芸能活動を先んじて行っていたそんな年上のミューに対して、ガルフはほぼ新人として『TharnType/ターン×タイプ』でドラマ初主演を飾った。

二人が出演した番組でガルフは、BLシリーズに出演することに対し「男女のラブストーリーが一般的だから、挑戦だと思った」とも話しているが、その時すかさずミューが「男女のラブストーリーと変わらない」と答えたこともあった。

キャスティングのオーディションでは、ガルフが「ミューだけが自分を照れさせた」という理由で、彼をターン役に指名した。また、そんなミューもまたタイプ役にガルフを選んだ。

TharnType/ターン×タイプ

心優しく穏やかで音楽を愛するターンは、ミューその人自身に近く、素直じゃなく突飛でスポーツが好きなタイプは、ガルフその人自身に近い。運命的なキャスティングによって開始された『TharnType/ターン×タイプ』では、試練を乗り越えながら関係性を深めていくターンとタイプの姿が、撮影を重ねていくごとに絆を強くしていくミューとガルフの姿と乱反射する。

憑依型の役者である彼らは、時に過酷なシーンを演じて引きずることもあったが、そのたびお互いを支え合って乗り越えた。スペシャルエピソードの撮影中のオフショットにも残っているように、かつてミューとガルフは何度となく喧嘩することもあったが、その度仲直りする姿を私たちに見せている。

TharnType/ターン×タイプ

『TharnType/ターン×タイプ』は、「手を繋ぐ」描写が反復される物語でもある。ターンの胸ぐらを粗雑に掴んでいたタイプの手と、タイプに堂々と触れることが許されなかったターンの手が、確かに繋がれていくまでを描く物語だと言い換えてもいいかもしれない。それはきっと、ぶつかりあって離れてはまた距離を縮めていく現実のミューとガルフ自身の姿とも重なり合うものだろう。

この作品が「物語」であること、あるいは「物語」でしかないことを頭で理解していながらも、彼らの幸せを願わずにいられなくなるのは、そうして共に活躍する姿を見せ続けてくれているミューとガルフの存在によるかもしれないし、物語自体が持つ力によるのかもしれない。いずれにせよ、もう一つの「現実」が心の内に仮構され、観た者にターンとタイプがどこかで生きているような気にさえしてしまう強度がこの作品にはある。

現在撮影中の新シリーズは、「結婚」をテーマにしていることがすでに発表されており、ターンとタイプの7年後の物語が描かれる。7年分の月日を過ごしたターンとタイプの成熟した関係は、多くの時間を共に過ごしてきたミューとガルフの親密な関係のもとに裏付けられるはずだろう。”二人”の手が永遠に繋がれて離れないことを、今から願ってやまない。

TharnType/ターン×タイプ
あんころもち
ライター:あんころもち
『TharnType/ターン×タイプ』絶賛応援中のライター。→Twitter

※本記事で取り上げた『TharnType/ターン×タイプ』は、8月28日(金)正午よりRakuten TVにて独占先行配信がスタートします。詳細はこちらの特集記事をご覧ください。
https://tv.rakuten.co.jp/special/tharntype/

作品情報

TharnType/ターン×タイプ ロゴ

「TharnType/ターン×タイプ」
(原題:TharnType The Series)
放送期間:2019年10月7日~2020年1月6日
放送局:One31(テレビ)、LINE TV(配信)

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<受賞歴>
・「LINE TV Awards 2020」ベストキスシーン賞
・「Howe Awards 2019」ベストカップル賞
・「Thai Crazy Awards 2020」ベストBLシリーズ賞&ベストBLカップル賞
・「TEP CLASH 2020」
キングオブ攻:スパシット・ジョンチーウィーワット
キングオブ受:カナーウット・トライピパッタナポン       など
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<キャスト>
ターン役:スパシット・ジョンチーウィーワット(ミュー)
タイプ役:カナーウット・トライピパッタナポン(ガルフ)
テクノー(ノー)役:スティナット・ウントラクーン(マイルド)
ロン役:キッティパット・ケーオチャルーン(カーオナー)
タム役:ナタット・クナーコンキアット(ハイター)
ター役:パリンヤー・アンサナン(コックリアン)
ソー役:カンティーポップ・シローラッタナパーニット
クルイ役:タナーウィン・ドゥアンネート
テクニック(ニック)役:ワシン・パーヌマーポーン
チャンプ役:ナパット・シーナークルアン
サーン役:パッタラブット・キアンヌクーン
トーン役:タナーユット・タークーンアッタヤー
ソーン役:スティサック・アカラパーヌウィタヤー
テー役:ナタポン・カッタチャン
ティーム役:コーンカーオ・プレームシリニティクン
アーム役:臼杵あゆた(ウスキアユタ)
マイ役:ペンカウィン・ワンニウェートクン
プイファーイ(ファーイ)役:シワポーン・ランカーピン
ターン父役:タウィーサック・タナーナン
ターン母役:サローチャー・ワーティッタパン
タンヤー役:ティップラダー・マイヤー
タイプ父役:タナーヨン・ウォンタラクーン
タイプ母役:アムパー・プーシット
コム役:ポンコーン・ウォンクリッティヤーラット
ジード役:リンリー・マグラス
コン役:ティティパン・スリヤーウィット
ティン役:ピーラウィット・アッタチットサターポーン
ピート役:スパポン・ウドムケーオカンチャナー
ケンクラ(クラ)役:シワット・チャムローンクン

<スタッフ>
監督:バンティット・シンタナパーラディー
脚本:オーラワン・ウィチャヤワナクン
原作小説:『TharnType Story』

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