彼女の心、行動から目が離せなくなっていく。映画『彼女がその名を知らない鳥たち』

邦画

2017年に蒼井優主演で公開された『彼女がその名を知らない鳥たち』。ちょっと意味深なタイトルですよね。一体どんな映画なのだろうと思った人も多いのではないでしょうか。

蒼井優の熱演でも話題になった『彼女がその名を知らない鳥たち』の感想や、インターネットの動画配信サイトを使って、簡単に映画を視聴する方法について紹介します。

1分でわかる!公式ライターふくだりょうこの映画解説

沼田まかほる原作の小説『彼女がその名を知らない鳥たち』を実写化。蒼井優、阿部サダヲのダブル主演、監督は『サニー/32』、『孤狼の血』の白石和彌氏。

北原十和子(蒼井優)は金がなく、下品だと蔑みながらも年上の男・佐野陣治(阿部サダヲ)に依存しながら生活していた。そして時折、8年前に別れた黒崎(竹野内豊)との姿を撮ったDVDを観る。そんなある日、十和子が出会ったのは水島(松坂桃李)。十和子は陣治がいながらも水島との情事におぼれていく

陣治は「十和子のためならなんでもする」と笑って言う。それを見て十和子は侮蔑の表情を浮かべる。十和子はと言うと働かない、クレーマー、陣治がいるのに水島と逢瀬を重ねる、と正直首を傾げるような人物だ。それがどこか生々しく、人間くさい。黒崎や水島と言った、どうオブラートに包んでもクズとしか言えないような男たちにのめり込んでいく。その姿は放っておけないような危うさを持っていて、「どこか十和子の行動には思い当たるものがある」と錯覚してしまう。たとえ彼女と同じような体験をしていなかったとしても、だ。

共感できず、嫌悪感を持ちながらも、彼女の心、行動から目が離せなくなっていく……。今や時の人・蒼井優の演技に注目だ。

ふくだりょうこ
ライター:ふくだりょうこ
シナリオライター。深夜のお供はアニメとドラマ。ハイボールと小説、好きなアイドルのライブに行くのが楽しみ。

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『彼女がその名を知らない鳥たち』の映画をおすすめするポイント3つを解説


ここでは、『彼女がその名を知らない鳥たち』の映画をおすすめするポイント3つについて紹介します。述べたように、本作には非常に演技の上手い役者たちが集結しています。

彼らの圧倒的な演技力もさることながら、ストーリーも非常に緻密に練られています。以下の3点に注目しながら、動画を楽しみましょう。

蒼井優の徹底したクズ女ぶり

自堕落で自己中心的、趣味もなく教養にも欠け、男好きでも男を見る目はゼロというように、徹底して魅力のない女性を蒼井優が圧倒的な表現力で演じきっています。

冒頭では、いつものように店舗に難癖をつける場面から始まります。表情や喋り方なども工夫されており、短いシーンですがとても嫌な女だというのがよく伝わるシーンです。また、自分が好ましいと思う男への表情や、嫌悪している男への表情の使い分けなども見事です。

蒼井優の演技が素晴らしいのは、ここまで嫌な女でありながら、人間らしさが溢れているところです。もしかすると、どこかにこんな人がいるのかもしれないと思わせるような人物造形力はさすがです。

あまりにも自己中心的過ぎるため、同情するのは難しいですが、とても不器用な感じはよく伝わってきます。その生きざまは見ていて苦しいほどです。

十和子という女性をより生々しくみせている要素のひとつが関西弁の設定です。舞台が大阪ですので、台詞はもちろん全編関西弁です。もともと蒼井優は福岡県出身ですが、まるでネイティブのような自然な関西弁を披露しています。

ホラーを彷彿とさせる阿部サダヲの怪演

醜悪、不潔、下品、ストーカー気質という要素を持つ、非常に気持ちの悪い男性を演じている阿部サダヲにも注目しましょう。

もともと男性としては色白の顔にたっぷりと色の濃いドーランを塗ってさらに汚し、髪も案山子のようにボサボサに乱すなど、俳優魂を見せつけています。

もちろん見た目だけではなく、動き方もとにかく気持ち悪く見えるように細かく演技しています。たとえば、水島に会いに行くために出かける十和子を、背筋を丸めながら追いかけてくるシーンなどは、ほぼホラーの域です。

女性に嫌われる要素を徹底研究したかのように、基本的にヨレヨレでブカブカの作業着姿で、首元には薄汚れた白いタオルを巻きつけている陣治。多少オシャレをして客人を迎えるシーンでも、あえてもっとも似合わない水色のセーターを着させられています。

徹底して陣治の醜悪さを際立たせている監督の演出力もさすがというべきでしょう。普段の柔和な阿部サダヲとは真逆の怪演を見てみたいという人は、本作を視聴することをおすすめします。

衝撃のクライマックスに注目

本作では、最初の印象が真逆になるほどの衝撃のクライマックスが用意されています。

ネタバレになるので、詳しくは書けませんが、もちろん陣治はただの気持ち悪い男では終わりません。なぜ彼が十和子にそこまで執着したのか、それがわかった瞬間、すべての印象がガラリと変わります。

そして、前半の異常なまでの不快感がすべて、まったく違った感情となって視聴者に跳ね返ってきます。特に、映画のラスト15分はとても重要です。

もしかすると、今までの長い話はすべて伏線で、すべてはこの15分のために作られたのではないかと思えるほどです。特に前半は不快な要素が詰まっていますので、途中で見るのをやめたくなる人もいるかもしれませんが、最後まで見なければこの映画は評価できません。

衝撃のクライマックスから、一転して感動的なラスト15分を見逃さないようにしましょう。

『彼女がその名を知らない鳥たち』の映画を特に楽しめる人はこんな人たち

『彼女がその名を知らない鳥たち』は、とてもよくできた映画ですが、主人公やそれを取り巻く登場人物にまともな人がほとんどおらず、かなり癖のある作品ともいえます。

また、主人公が恋愛体質のため、本編にもかなり大人向けのシーンが織り込まれています。実際に、R15+指定作品として公開されていますので、親子で見るには適していません。友人などと見るよりもひとりのほうがいいでしょう。

しかし、個性的な作品であるからこそ、しっかりとこの作品にはまる人もいます。特にこの映画が楽しめるのは次の3タイプです。あてはまる人は、動画で映画を見てみてはいかがでしょうか。

ちょっと悪い男性が好きな人

十和子を振り回す男性たちを演じるのは、美男子の代表である竹野内豊や松坂桃李です。テレビCMやバラエティなどでも好感度の高い2人が、本作では普段のイメージとは真逆の悪い男を演じています。

松坂桃李が演じるのは、見た目の良さと清潔感とで女性を虜にするものの、とにかく内面が薄っぺらい男性です。また、20代の十和子が夢中になる黒崎を演じている竹野内豊が醸し出す大人の色気はさすがでしょう。

さんざん十和子を魅了して懐柔しておきながら、ふとしたことで突然クズ男に豹変するシーンは、必見です。たまにはちょっと悪いイケメンが見てみたいという人には、この映画をおすすめします。

ミステリー要素が好きな人

本作には、数々の謎の要素が詰まっています。たとえば、十和子のかつての恋人である黒崎の失踪、十和子が過去の記憶を一部失っていることなど。

さらに、そもそも十和子がなぜ好きでもない陣治と暮らしているのか、十和子の姉は女性受けの良くない陣治をなぜ評価しているのかということも疑問でしょう。

前半では視聴者にとって、とにかくさまざまな「なぜ?」が投げかけられます。しかし、終盤でそのすべてがつながり、謎が一気に明らかになります。

そこに至るまでの伏線の張られ方や、徐々に十和子が記憶を思い出していく過程など、ミステリーとしてもよくできた映画です。普段から、ミステリーやサスペンス映画が好きという人は、本作を楽しめるでしょう。

普通の恋愛映画では物足りない人

恋愛映画が好きだけれど、美男美女が出てきて恋に落ちる、軽い障害があってそれを乗り越えて結ばれるといった王道の展開に飽きている人もいるでしょう。

その場合は、ぜひ『彼女がその名を知らない鳥たち』を見てみることをおすすめします。

本作の主役の男女は美男美女という設定ではなく、特に男性側の醜悪さは酷いものです。また、ヒロインの性格も自己中心的で、好きでもない男と同棲し、身勝手な男たちとだらしのない恋愛を繰り返しています。しかも、過去の失敗からまったく学習しないダメな女性です。

普通であれば、主役になりようもない2人ですが、演じている役者が上手いので見捨てる気持ちになれません。仕方ないと思いつつも、ミステリーの結末も気になって話を追ううちに、衝撃のクライマックスを迎えます。

ネタバレになるのでこれ以上は書けませんが、その後のラストシーンで、主役2人の関係性がこれまでとまったく違うものに見えてきます。

本作のもうひとつのキャッチコピーが、「あなたはこれを愛と呼べるか」です。2人の関係が、果たして愛と呼べるものなのかどうか、映画を最後まで見た人だけが、それを評価できるでしょう。

もしかすると、見た人の恋愛観を変える作品かもしれません。映画の結末が気になった人は、ぜひ動画で視聴してみましょう。

『彼女がその名を知らない鳥たち』の映画を動画で簡単に見る方法とは?

『彼女がその名を知らない鳥たち』の映画が視聴できる動画配信サイトは次のとおりです。無料お試し期間を設けているサイトもありますので、この機会に登録して無料で動画を視聴してみてはいかがでしょうか。

配信している有料動画サービス比較

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『彼女がその名を知らない鳥たち』はどんな映画?評価についても知りたい!

『彼女がその名を知らない鳥たち』は、2017年10月28日に公開された日本映画です。「共感度0パーセント、不快度100パーセント」という強烈なキャッチコピーを覚えているという人も多いのではないでしょうか。

原作は沼田まほかるの同名小説です。第5回ホラーサスペンス大賞受賞でデビューし、「ユリゴゴロ」などダーク要素たっぷりの小説を得意としている沼田まほかる。「告白」で衝撃的なデビューを飾った湊かなえと共に、イヤミスの女王として知られています。

そんな彼女のベストセラー小説を実写化したのが、これまた「凶悪」や「日本で一番悪い奴ら」などの問題作で知られる白石和彌監督です。この2人のタッグというだけでも、ただならぬ作品になるような気がしますよね。

映画で描かれるテーマは「究極の愛」。テーマのとおり、複数の男女が登場し、彼らの恋愛関係が描かれます。しかし、その描かれ方はちょっと変わっています。

映画の主人公は、蒼井優演じる十和子。十和子は15歳以上も年上の男、陣治と同棲しながらも、8年前に別れた男のことを考え、さらに陣治がいながら妻子持ちの別の男に惹かれるようなだらしない女性

演じた蒼井優本人も、「あまりのだらしなさに観客に見放されるのでは」という趣旨の感想を漏らしたほど、まさに共感度0パーセントの女性です。しかし、そんな女性でも演技力に定評のある蒼井優が演じると、とにかく人間らしく、生々しいのです。

そして、そんな十和子と暮らしている陣治は、これまた不快度100パーセントの気持ちの悪い男性です。演じているのは、個性的な役柄を演じたら右に出るものはいないのではないかと思える阿部サダヲ。

醜悪、不潔、下品という3大不快要素を持ち、さらに「十和子のためだったら何でもできる」と意味深な言葉を繰り返しながら彼女に執着するストーカー的な人間です。

普通に考えると、あまり演じたくないような役ですよね。しかし、バラエティなどでみせる柔和そうな雰囲気をかなぐり捨て、阿部サダヲは持ち前の演技力でこの気持ちの悪い男になり切っています。

最初から最後までこの自己中心的でイヤな女を演じきった蒼井優の演技は高く評価されました。第41回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ、第42回報知映画賞の主演女優賞や第39回ヨコハマ映画祭の主演女優賞など、数々の女優賞を総ナメにしています。

もともと演技力には定評がある女優ですが、本作によって演技派の地位を確固たるものにしました。彼女の圧倒的な演技を見るだけでも、十分に本作を視聴する価値はあるでしょう。

第60回ブルーリボン賞では、白石監督が監督賞に輝き、また阿部サダヲが主演男優賞を受賞。主演の2人のほかにも、演技派のキャストが集結しています。

たとえば、十和子と恋に落ちる男性を演じた松坂桃李は、本作の演技で第39回ヨコハマ映画祭の助演男優賞を受賞しています。

十和子と陣治の奇妙な関係の行方、また十和子と男たちとの関係に陣治がどう絡んでいくのか、過去と現在が交錯する衝撃のクライマックスまでとにかく目が離せません。

『彼女がその名を知らない鳥たち』を見ていない人、このコラムを読んで見たいと思った人は、インターネットの動画配信サービスを使って視聴してみてはいかがでしょうか。動画配信サービスであれば、自宅で空いている時間を使って、スマートフォンやタブレットなどから簡単に映画を見ることができます。

『彼女がその名を知らない鳥たち』の映画あらすじを紹介!※ネタバレ注意

ここでは、『彼女がその名を知らない鳥たち』のあらすじについて詳しく紹介していきます。本作では、終盤に視聴者を大きく裏切るような出来事が起こります。映画や動画をまだ見ていない人で、ネタバレを知りたくない人は、注意しましょう。

あらすじ1

舞台は現代の大阪。十和子は15歳も年上の陣治衣食住のすべてを依存し、働きもせずに朝からDVDを見て過ごすといった自堕落な生活を送っています。

同棲している陣治は、醜悪、不潔、下品極まりない男で、女性に好かれる要素は皆無です。

陣治に生活の面倒を見てもらっているにもかかわらず、同時に陣治に嫌悪感を抱いている十和子は、ことあるごとに彼を口汚くののしります。

しかし、陣治は十和子にどんなことを言われようとも、せっせと彼女のために食事を作ったり、疲れればマッサージをしてあげたりするなど、献身的に尽くします

そして十和子もまた、そんな陣治の元から去ろうとはしません。恋愛とはほど遠い2人の奇妙な関係が続きます。

あらすじ2

朝から暇を持て余している十和子のストレス発散の方法が、店舗にクレームをつける行為でした。この日も、時計店に陰湿なクレームの電話をかけています。

そんな十和子の対応をしたのが、水島という妻子持ちの店員でした。見るからに軽薄そうな男ですが、男を見る目がない十和子は水島にのめりこんでいきます。

そんな折、急な刑事の訪問によって、十和子は8年前に別れて以来、1度も会っていない黒崎が実は失踪していることを知ります。何も知らない十和子ですが、なぜか胸の奥がざわつくのでした。

水島と逢瀬を重ねるにつれて、陣治の十和子に対する監視が厳しくなります。もともと、陣治には十和子の後をつけるなどストーカー的な要素がありましたが、次第にその行為はエスカレートしていきます。

あらすじ3

黒崎の妻に会ったことで、十和子は過去のことを少しずつ思い出していきます。黒崎と終わったといっても、実際は一方的に捨てられて怪我まで負わされるという、これ以上ないほど惨めな別れ方でした。

帰宅すると、陣治が会社で殴られたといって、血のついた衣服を浴室で洗っていました。ふと、前にもこんなことがあったような気がする十和子。陣治に尋ねますが、陣治はとぼけます。

次第に、陣治のストーカー行為は水島の家族にまで及ぶようになります。もしかすると、黒崎を殺したのは陣治ではないかと、怪しむようになる十和子。

あらすじ4

陣治のせいで水島とも距離を置くことになり、陣治への不信感と不快感が頂点に達した十和子は、単刀直入に尋ねます。「黒崎さんを殺したのは陣治なのか」と。

意外にも、あっさりと「そうだ」と罪を認める陣治。十和子を苦しめた黒崎が許せなかった陣治は8年前に黒崎を殺し、土の中に埋めたというのです。

陣治を難詰しつつも、どうしてもなぜか釈然としない十和子。気まずい雰囲気の中、2人は夕食の卓を囲みます。ついに水島に別れを切り出された十和子。逆上した十和子は、水島を刺してしまいます。そしてその瞬間、十和子の脳裏にフラッシュバックが起きます。

あらすじ5

十和子は自分が黒崎を刺したことを思い出します。どこまでも自分を搾取しようとする黒崎を許せなかった十和子は黒崎を刺殺し、陣治はその後始末をしたのでした。

そして、それからずっと十和子を守るために、彼女を監視し続けていたのです。辛い過去のすべて思い出し、死にたいと自暴自棄になった十和子を陣治は慰めます。

「十和子は俺が助ける」という陣治に、十和子は尋ねます。「いつも口ばっかりじゃない、どうやって助けるんだ」と。すると、陣治はありったけの励ましの言葉を口にし、そして鳥のように両手を広げ、十和子の身代わりに投身自殺します。

そのとき、十和子の頭の中で、陣治との出会いや数々の切ない思い出が蘇ってきます。ひとり残された十和子は、世の中でたったひとりだけの、自分の恋人を失ったことに気付くのでした。

『彼女がその名を知らない鳥たち』の映画に登場する主要キャスト3名

『彼女がその名を知らない鳥たち』の映画に登場する主要キャストは次の3名です。動画を視聴する前に、チェックしておきましょう。

【北原十和子】蒼井優

本作の主人公。衣食住のすべてを陣治に依存している自堕落な女性。

【佐野陣治】阿部サダヲ

わがままな十和子に献身的に尽くす中年男性。

【水島真】松坂桃李

十和子がクレームを入れた時計店で働く社員。

『彼女がその名を知らない鳥たち』の映画監督や脚本家は?作品情報まとめ

『彼女がその名を知らない鳥たち』の映画監督や脚本家は次のとおりです。動画を見る前にチェックしておきましょう。脚本を担当した浅野妙子は、テレビドラマの脚本も多く手がけている大ベテランですので、名前を知っている人も多いのではないでしょうか。

原題:『彼女がその名を知らない鳥たち』

公開年:2017年

監督:白石和彌

脚本:浅野妙子