「どうせ〇〇なんだろう」という概念をぶっ飛ばす斬新なストーリー!映画『月に囚われた男』

洋画(海外映画)

月に囚われた男』2009年にイギリスで公開されたSF映画です。しかし、SF映画によくみられる派手な戦闘シーンや、現実と見間違うような美麗なCGは存在しません。

この作品が描くのは、エネルギー資源を採掘していたあるひとりの男をとりまく奇妙な出来事と、男のアイデンティティに関わる重大な問題。それをミステリー調で謎解きのように少しずつ明らかにしてゆく過程に、思わず膝を叩きたくなることでしょう。

もちろん、SF映画としての魅力は十分。低予算であることを感じさせない月面の様子に、映画監督ダンカン・ジョーンズの力量がうかがえるはずです。

この記事では『月に囚われた男』の感想を余すところなく紹介。さらに、主な動画配信サイトでの配信状況を紹介するとともに、無料の視聴方法についても解説します。

1分でわかる!公式ライター・トキエスによる映画解説

ある男の悲しい運命を描いた『月に囚われた男』。予想外なストーリーラインで話題になったSFスリラーだ。監督を務めたのは、アメリカの偉大なアーティスト、デヴィッド・ボウイの息子のダンカン・ジョーンズ。

近未来。地球に必要不可欠なエネルギー源が月で発見された。発掘を担当する大手企業「ルナ産業」は、従業員のサム(サム・ロックウェル)を3年の契約で月に派遣。彼はたった1人で任務に全うすることに。サムの支えは、1台の人工知能コンピューターのみ。孤独に耐え続け、任務完了まで2週間を残したある日、サムは自分と全く同じ顔をした男と出会う。

衝撃的な展開で今やSFスリラーを代表する映画の一つとなった本作。実は、低予算で製作されたインディー映画なのだ。『エイリアン』シリーズなど宇宙を舞台にしたSF映画といえば、巨額の制作費が当たり前のように使われているが、本作はなんとたったの500万ドルほど。それでもB級っぽさが一切感じられないのは、巧妙なストーリーラインとダンカンの大胆な演出のおかげだろう。

私はSFスリラーっぽい内容を予想しながら観ていたが、見事に予想が外れた。「どうせ〇〇なんだろう」という概念をぶっ飛ばす斬新なストーリー。そして、息を飲むような、騙された感覚がとっても気持ちいい。そんなダンカンワールドに浸るには、本作がベストだ。

トキエス
ライター:トキエス
映画ライター。兵庫県出身。サスペンス・スリラー作品記事をメインに執筆。趣味は海外映画のロケ地巡り。

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気がつかない伏線も?月に囚われた男のおすすめポイントを3つ紹介

真相には触れていませんが作中のストーリーについて紹介しているため、これから鑑賞する人はご注意ください。

さまざまな伏線に彩られた物語

『月に囚われた男』の伏線は非常に多く、そして細かいのが特徴です。物語の主軸に直結しているものから、そうでないものまで無数にあります。

たとえば、サムが幻覚や幻聴に襲われたり、体調が悪くなっていったりする様子は、実はサムの存在そのものに直結した伏線です。また、月面での採掘期間が3年であるというのも、月と地球を結ぶ通信機能が故障したままであるのも、サムの伏線に大きく関与しています。

その伏線は、やがてサムがある存在に出会うことで、少しずつ回収されていくことになるのです。

また、序盤でサムがローバーを運転中に掘削機と衝突し、その後目を覚ますシーンでは、彼はガーティから事故に遭ったことを聞かされます。しかし、サムは事故時のショックで記憶喪失にでもあったのか、掘削機との事故のことを覚えていない様子が描かれるのです。

実は映画全体を俯瞰してみると、ガーティのいう事故とは、衝突事故のことを指すのではないということがわかります。

この伏線は物語に直接関わるものではないので、気がつかなくても十分に楽しむことは可能です。しかし、事故という単語を用いたミスリードにもなっているため、2回目以降の視聴では、何の事故を指していたのかを把握しながら楽しむことが可能です。

こうした細かい伏線まで読み解く楽しさが、本作にはたっぷりと詰まっています。どのようにして伏線が回収されるのかを予想しながら見ることで、本作がさらに楽しめるはずです。

ガーティの動向に注目

「2001年宇宙の旅」に登場するHAL9000のように、人工知能は人間に対する反乱の象徴として描かれることがあります。そうした事例を先入観として上手く利用しているのでしょう、本作で登場する人工知能のガーティには、どことなく信用できない雰囲気があるのです。

ガーティは月面基地における管理者的な存在であり、サムがたったひとりで何不自由なく資源エネルギーの採掘ができるよう、身の回りの面倒をみています。また、月面での孤独な生活でメンタルを損耗することのないように配慮しているのか、ガーティはどこか人間じみた口調でサムと会話するのです。

ですが、サムが襲われる幻覚や幻聴についてはわからないという様子を見せます。さらには、通信機能が故障している月面基地において、サムには内緒で資源エネルギーを管理している地球の会社と連絡をとっている様子が描かれるのです。

しかし、物語がすすむにつれて、実はガーティがサムに敵対する意志がないことが明らかに。月面基地の管理者であるガーティは、サムの命を守ることを目的にしているので、彼に危険が及ぶ事象を回避しようとします。その結果、ガーティはサムに協力的になるのです。

ニコちゃんマークを用いて人間臭く立ち回るガーティの様子は、息苦しさを覚える本作において微かな清涼剤の役割をしています。

もちろん、ガーティの存在が人間に対して反乱したHAL9000への意趣返しであるというには、いささか時間が経過し過ぎているといえるでしょう。むしろ、人工知能の研究が進歩した時代においては、ガーティの協力的な態度は必然のことだったといえるのかもしれません。

CGよりもミニチュアを駆使したセット

SF映画といえば、広大なスケール感を演出するためにCGを駆使することが多いものです。しかし、本作ではCGよりもミニチュアやガジェットに力を入れることで、低予算ながらもSF映画としてのリアリティを生み出すことに成功しています。

たとえば、舞台となる月面基地内の奥行きや幅に関しては、なんと実寸大のものを準備して使用したとのこと。カメラワークでも奥行きのある基地の様子が映されることで、動画における空間の広がりが自然と意識されます。

また、作中で月面を探査するためにサムが乗り込むローバーや、資源エネルギーであるヘリウム3の採掘機にも注目。これらのセットはいずれも、「エイリアン」シリーズの模型やセットを思わせるような作りになっています。

実際、「エイリアン」シリーズでは、重厚かつリアリティにあふれたセットが、SF映画としての宇宙を演出するのに大いに役立っているのです。

本作でもそれは例外ではなく、ローバーや採掘機の精巧な造形とその動作は、月面上の様子を見事に浮かびあがらせているといえるでしょう。

こうした要所でのこだわりが、低予算ながらもリアリティのある作品に仕上がっている一因であることはいうまでもありません。

ミステリー好きは必見!月に囚われた男を楽しめるのはこんな人

ミステリー作品が好きな人

推理小説をはじめとするミステリー作品の魅力は、伏線による謎解きの楽しさと、その回収による爽快感。こうしたミステリー作品の楽しさが大好きな人にこそ、『月に囚われた男』は強くおすすめできます。

作中で少しずつ伏線をちりばめ、また回収していく展開は、話に深みをもたらすとともに、観客への挑戦めいた最高のサービスとして機能していることがわかるでしょう。

本作の大ネタは、一度わかってしまうと2回目からは同じように見ることのできない性質のものです。したがって、できれば最初はネタバレ無しで見るのをおすすめします。

しかし、本作では大ネタ以外にも、一度見ただけでは気がつかないような伏線が多数ちりばめられています。こうした伏線を解き明かしていくことを目的として、本作は繰り返し楽しむことが可能になっているのです。

アイザック・アシモフの「鋼鉄都市」のように、SFとミステリーが両立した古典的な作品は確かに存在します。

しかし、往々にしてミステリーのジャンルは近現代を舞台として、その時代ならではのトリックを用いた作品が多いもの。サムを取り巻く状況が伏線として機能し、SF的な設定と融合してゆく様子は、SFを敬遠するミステリー好きの人にとっても必ず楽しめるはずです。

古いSF作品が好きな人

CG合成や特撮における技術が今よりもずっと拙いものであった時代、SF映画はどのようにすれば動画でのリアリティを演出できるかについて苦心していました。

1960~70年代の傑作と呼ばれるSF映画の制作記録を見ると、撮影技術や物語展開に対して並々ならぬこだわりがあったことが理解できます。『月に囚われた男』では、こうした作品への明らかな敬意と、それを意識したストーリー展開を随所に発見することができるでしょう。

実際、本作は現代のSF映画として十分に見応えがあるだけではなく、過去のSF映画に対する数々のオマージュによって、ノスタルジックにも似た雰囲気を醸し出しています。

たとえば、月面基地の内部における白を基調としたインテリアは、現代のSF映画にはどこか似合わず、むしろ「エイリアン」における船内の様子を思い出させることでしょう。

また、監督の父親であるデヴィッド・ボウイが実際に出演した「地球に落ちて来た男」に出てくる卓球が、本作でも用いられていることは見逃せません。

もちろん、こうしたオマージュはあくまで本作の魅力を彩るエッセンスのひとつ。ミステリー仕立てて展開する本作のストーリーは、オマージュに負けない魅力的な内容を持っています。

そして、本作のいわゆる謎解き型の物語は、同じく謎解きを主とした過去のSF映画を思い出させることでしょう。

打ちひしがれるような悲しい現実に共感しやすい人

『月に囚われた男』の後半では、サムがある重要な事実を知ってしまい、悲しみのあまりどうすることもできなくなってしまうシーンが存在します。

その事実とは本作のSF的な設定と密接に関わっており、おそらく私たちが一生かかっても経験することのできないものです。

しかし、本作のエピソードを通じて主人公の心情に共感していくについて、観客はサムの悲しみを理解することになるでしょう。そのとき、通常の作品では決して生み出すことのできない、SFならではの感情の揺さぶりを享受することができるはずです。

物語の目的や面白さのひとつは、いかにして人間を描くかということです。SF作品においても、それは決して変わりません。むしろ、私たちが絶対に経験できない世界や事象を通じて、登場する人間の心情の機微を描くのが、SF作品の目的のひとつといえるでしょう。

実際、監督のダンカン・ジョーンズは本作の作成について、「濃密な人間関係と魅力ある宇宙空間の両方を描きたかった」と語っています。

登場人物を徹底的に削った本作において、一体どのような人間関係が描かれるのか。こうした疑問を払拭するだけの素晴らしいストーリーが、本作では提示されることになります。

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低予算とは思えない完成度!月に囚われた男はこんな映画

真相には触れていませんが作中のストーリーについて触れているため、これから鑑賞する人はご注意ください。

『月に囚われた男』は、月面基地でただひとりエネルギー資源の掘削作業を行っていた男が、不慮の事故を契機に自分を取り巻く奇妙な状況に気がついていく様子を描いた作品です。

2009年にイギリスで公開されたこのSF映画は、決して派手なシーンはないものの、計算された物語展開とそれを裏付ける設定が秀逸な、非常に見応えのある作品になっています。

本作の魅力は、なんといってもSF設定を下地としたミステリー調の展開です。月面を舞台としたミステリー仕立てのネタばらしが、本作を非常に完成度の高いSF映画に仕上げています。

作中の至る所で散見される大小さまざまな伏線のオンパレードと、観客を欺くミスリードは、映画を見ながら謎解きをしている気分にさせてくれるでしょう。少しずつ提示される伏線に振り回されているうちに、あっと驚くネタに衝撃をうけることになります。

また、物語を彩るSFガジェットや、美麗な風景も見逃せないポイントです。SF映画といえば、大規模な予算に裏付けられた重厚で壮大な物語と、迫力のあるアクションを思い浮かべることが多いのではないでしょうか。

しかし、本作は低予算ながらも、映像のクオリティはまさに一級品。精巧なミニチュアを駆使した月面世界の様子は、月面上を疾走するローバーや採掘機の存在も相まって、まるで本当に月面の世界を見ているような気分にさせてくれます。

また、宇宙食や娯楽施設に彩られた月面基地内の様子もリアルに迫っており、実際に基地があればこんな様子かもしれないと思い込んでしまうはずです。

さらに、宇宙が持つ広大さとともに、閉鎖空間による息苦しさを強調しているのも、この作品の大きな特徴のひとつでしょう。『月に囚われた男』に出てくる登場人物は、基本的には主人公であるサムと、月面基地の管理を行う人工知能ガーティだけです。

動画で映される場面も、主に月面基地内とその外の様子のみ。情報量をそぎ落とした設定は、月面基地という閉鎖空間にさらなる息苦しさを加味します。

その閉鎖空間での息苦しさは、冒頭から不安感を煽る最高のスパイスとして機能することになります。エネルギー資源の採掘作業に従事していたサムは、3年間の契約を終えてもうすぐ地球に帰る予定です。

妻と娘のことを思い出しながら地球への帰還を待つサムの期待感は、しかし決して観客に同じものをもたらすことはありません。

どことなく単調なBGMに彩られた月面基地の様子は、彼の身に起こる不可解な出来事とともに、むしろ不安を煽ることになります。本当にサムは無事に地球へ戻ることができるのかと、観客は妙な緊張感を抱くことになるでしょう。

ところで、本作では過去のSF作品を想起させる雰囲気がどことなく漂っています。たとえば、閉鎖的な空間で不安を煽る展開は、SFホラーの傑作である「エイリアン」シリーズを彷彿とさせることでしょう。

本作はホラー作品ではないものの、幻覚や幻聴に悩まされるサムの様子は、彼自身が何か抜き差しならない事態に巻き込まれるのではないかという予感を与えることになります。

また、人工知能ガーティのどこか人間じみた様子にも注目です。月面基地における秘密を隠しているような様子をみせるガーティからは、人間に対するAIの反乱を想起させます。

もちろん、ガーティのそんな様子が「2001年宇宙の旅」における有名な人工知能、HAL9000を彷彿とさせるのは疑いようがありません。こうしたオマージュを探しながら見ることができるのも、本作の魅力のひとつです。

本作の監督であるイギリス人のダンカン・ジョーンズは、この映画で長編映画作品のデビューを飾りました。

なんと彼は、世界的に有名なミュージシャン、デヴィッド・ボウイの息子でもあります。映画と音楽、異なるメディアではあるものの、作中のセットや特殊効果がもたらす美麗な演出は、表現者としての感性のつながりを感じずにはいられません。

彼のセンスはイギリス内外からも高く評価されており、実際に本作で彼は第63回英国アカデミー賞の新人賞を受賞しました。

見る前に読むのはダメ?月に囚われた男のあらすじを紹介※ネタバレ注意

本記事におけるあらすじは重大なネタバレを含みます。さらに、『月に囚われた男』はネタバレを読んでしまうと動画への見方が劇的に変わってしまう作品です。読み進める場合は十分に注意してください。

近未来の地球、月で発見されたヘリウム3のおかげで、地球は化石燃料への依存から脱却しました。月面でヘリウム3の採掘を行うルナ産業のもとで、サム・ベルは3年間の契約を結び、ただひとり月面基地サランで作業を行っています。

契約満了まで残り2週間となり、地球で彼の帰りを待つ妻のテス、娘のイヴにもうすぐ会えることを、サムは楽しみにしていました。基地の通信機能は以前から故障しており、もう長い間、彼はビデオレター以外で家族と連絡をとることができないでいるのです。

ある日、彼は急な頭痛や腹痛に襲われ、さらには基地にいるはずのない女性の幻覚を見るなど、体調がおかしくなっていることに気がつきます。

体調不良の原因がわからないまま、サムはいつものようにヘリウム3の回収に向かいました。ローバーの運転中、舞いあがる砂塵の向こうに再び見慣れない女性の姿を見た彼は、そのまま掘削機と衝突事故を起こし、意識を失ってしまいます。

サムが目を覚ますと、そこは月面基地でした。ガーティは彼が事故にあったと説明します。しかし、外傷はないものの、事故のことが思い出せず、意識がはっきりとしません。

またしばらくして彼が目を覚ますと、処置室の向こうでガーティが誰かと話しているのが聞こえます。どうやら今回の事故について、ルナ産業の関係者と何やら話している様子でした。起きてきたサムに対して、ガーティは通信記録を録画していたのだといいます。

ところで、基地の通信機能が故障しているにもかかわらず、この場面でサムはルナ産業と直接通信をとっているガーティに対して、特に疑問を持ちませんでした。

また、自分が事故にあったと聞かされていたものの、掘削機の停止が衝突事故とは結びついていない様子がうかがえます。実は、こうしたサムの振る舞いから、すでに彼が別のサムであったというのがわかるのです。

サムがガーティから聞かされた事故というのは、実はオリジナルのサムがこの基地へやってきたときに輸送機がクラッシュしたという記憶のことを指しています。

サムがクローンであることが明らかになるのは物語の中盤以降ですが、ネタを知ったうえでこの場面を見ると、すでにサムの様子が彼の正体を表していることに気がつくはずです。

やがて自由に動き回れるようになったサムは、ヘリウム3の掘削機が停止していることに疑問を持ち、ローバーに乗って確かめてくるといいます。しかし、ガーティはルナ産業からの命令で、まだ完治していないサムを基地の外に出してはくれません

不審に思ったサムは一芝居打ち、なんとか基地の外へ出ることに成功すると、採掘機へ向かいます。停止した採掘機には、もう1台のローバーが突っ込んだまま停止していました。

コクピットのハッチを開けたサムは、運転手のバイザーにこびりついた埃をおそるおそる拭います。そこにあったのは、もうひとりの自分の顔でした。

ここからは便宜上、掘削機と事故を起こしたサムをサムA、サムAを発見したサムをサムBとします。

サムBはサムAを基地へ連れ帰りました。目を覚ましたサムAも、それを見たサムBも、何がどうなっているのかわからない様子です。

サムAは状況を把握しようとサムBに歩み寄るものの、サムBはどことなく彼に非協力的な態度を取ります。サムBは自分やサムAが、もしかしてクローンなのではないかと疑い始めているのでした。

困惑しながらも生活するふたりのもと、ルナ産業からビデオレターが届きます。採掘機の事故に対して救助隊が到着するので、もうすぐ地球に帰ることができるという知らせでした。

しかし、サムBは浮かない表情のまま、サムAに自分たちはクローンに違いないといいます。サムBの言葉を信じないサムAは彼と衝突することに。しかし、体調の悪いサムAはちょっとした衝突ですぐに出血してしまいました。

サムAはガーティに、自分たちは本当にクローンなのかと問います。ガーティはためらうようなそぶりを見せたあと、彼らがクローンであることを白状しました。

そして、サムAもサムBと同じく月面基地で目を覚ましたこと、テスやイヴの記憶もオリジナルのサムのコピーであることを告げるのです。

サムAに怪我を負わせてしまったことがきっかけで、サムBはようやくサムAに歩み寄りました。そして、サムBは自分が目覚めた直後、ガーティがルナ産業の役員と会話していたことに触れ、月面基地の通信障害は仕組まれたものだと主張します。

通信を妨害しているのは基地の外側だと予想したふたりは、ローバーで作業区域外まで飛び出しました。そこで、彼らは通信を妨害している電波塔のようなものを発見するのです。しかし、体調が思わしくないサムAはそのまま基地へ帰還してしまいました。

もはやまともに動くのも辛そうなサムAは、月面基地内のデータから、自分に関する過去のログを辿り始めます。アクセス権がなく拒否されるものの、彼を心配するガーティはサムAに協力し、代わりにパスワードを入力することに。

ログからサムAが見たものは、自分より前に存在したサムのクローンが、3年の任期を終えて脱出ポットへ入っていく様子と、ポットで眠った彼らが焼却される様子でした。

脱出ポットの床の下に続く階段の先で、彼はサムBとともに、ついにサムの形をした無数のクローンを発見してしまいました。

失意のまま、サムAは電波塔の向こう側へローバーを走らせます。通信遮断のエリアを越えて通信機を開き、彼はテスと直接連絡をとろうとしていたのです。

画面の向こうには、すでに15歳になった娘のイヴがいました。そして、テスは数年前になくなったと知らされます。

さらに、画面の向こうからは、自分のオリジナルと思われる父親の声が聞こえてくるのです。帰る場所すら失ってしまったサムAは、悲嘆に暮れ号泣するのでした。

本来、クローンが複数目覚めていることはありえないので、このままではどちらのサムも救助隊に殺されてしまいます。戻ってきたサムAが眠っている間に、イヴとの通信記録を見たサムBは、ある決心をしました。

それは、サムBを事故車に残し、もうひとりのクローンを月面基地での身代わりとしたうえで、サムAをヘリウム3の輸送ポットに乗せて地球へ送り出す、というものです。

しかし、まもなく死ぬことを悟ったサムAは、サムBが地球へ行けというのでした。事故車へ向かうローバーのなかで、妻のテスとの出会いを話しながら、ふたりはお互いの記憶が共有されていることを笑い合います。やがて気を失ったサムAを事故車に運び、サムBは月面基地へ戻るのでした。

救助隊到着までのタイムリミットが迫るなか、サムBはガーティにも別れを告げました。サムAとサムBの記録が確認されると救助隊が真相を知ってしまうことに気がついていたガーティは、自分を初期化するようにいいます。

サムBは名残惜しそうに彼の初期化スイッチを入れ、最後に掘削機のルートを通信障害の電波塔にセットし、無事にヘリウム3の輸送ポットで地球へ向かうのでした。

登場する人間はひとりだけ?月に囚われた男の主な登場人物

【サム・ベル役】サム・ロックウェル(Sam Rockwell)

本作の主人公。ルナ産業と契約を結び、月面で3年間、ヘリウム3の採掘作業を行っています。

地球に置いてきた妻のテス、娘のイヴにもうすぐ会えることを楽しみにしていたものの、帰還まであと2週間というところで、体の不調を訴えることになるのです。手先が器用であり、基地内での暇つぶしに街の模型を制作している姿がうかがえます。

【ガーティ役】ケヴィン・スペイシー(Kevin Spacey)

ルナ産業の月面基地サランを管理する人工知能。筐体は基地内の天井から吊り下げられており、動画では基地内をせわしなく自走してサムの世話する様子がうかがえます。筐体に取り付けられたディスプレイに表示されるニコちゃんマークが特徴です。

【テス・ベル役】ドミニク・マケリゴット(Dominique McElligott)

サムの妻。ビデオレターで自分と娘のイヴの様子を報告しつつ、サムの安否を気遣っています。なお、この映画の登場人物は基本的にサムひとりであり、彼女の登場シーンは主にビデオレターによるものです。

確認しよう!月に囚われた男の作品情報

原題:Moon

公開年:2009年

監督:ダンカン・ジョーンズ

脚本:ダンカン・ジョーンズ、ネイサン・パーカー